« シクロクロス再び [2] | メイン

Grinduro 2019で見た最新トレンド

Grinduro Quincyを2年振りに走ってきたのですが、最後に走った2017年から驚くほどトレンドがコロッと変わっていたので、忘れないうちにエントリとしてネットに放流しておきます。


IMG_2850


そもそもGrinduroを知ったのは2016年2月のNAHBSサクラメントでした。会場でも「Grinduroってイベントがやばかったらしい」と話題になっており、早速2016年10月の第2回目開催にキャノンデールのSLATEで出場しました。この時の模様はCWでレポートしていますし、もっと詳しくは有料noteですが、こちらでもご覧になれます。


IMG_0392


2016年はシクロクロスバイクをまだちらほらと見ることができ、ちゃんとしたグラベルバイクのタイヤも700x36-38Cあたりが一番多く、700x40Cなら結構太い、という感じでした。僕の持ち込んだSLATEは650Bx42Cのスリックタイヤで、舗装の平地は良かったものの、グラベルの登りではロードバイクに近いギア比に苦しめられ、ガレた下りではスリックタイヤのシビアさにビビらされ、とにかく大変な思いをしたのですが、3回走ったGrinduroはトータルではこの仕様が一番速く走れており、ベストバランスだったと断言できます。ちなみに、この年総合優勝した元DH選手で今はSRAMのマーケティングにいるダンカン・リッフルはサンタクルーズのスティグマータにクレメンの40Cタイヤを履いていました。


ただ、この2016年に最後のシングルトラックで、「あれ、この下りってマウンテンバイクで走った方が楽しいんじゃない?」と気付いてしまい、翌2017年はTonicで29erを作って出場したのですが、確かに舗装の平地はやや辛いものの、登りは割り切って軽いギアでゆっくり走り、下りだけバンバン飛ばすという走り方が思ったより楽しく、さらに2.3"幅のMTBタイヤはGrinduroのコースを走っている限りは一切パンクする気がしなかったのです。36C辺りの低いブロックタイヤで走ってパンクを繰り返すよりも、ノートラブルでゆっくり走る方が実はトータルでは速いのですよね。


IMG_7090


2017年にブレッドウィナーのトニー・ペレイラが持ち込んだのはこちら。650Bx2.1"のタイヤを収めるフレーム。確かに、僕のセットアップである29x2.3"は最後に待ち受けるシングルトラックの下り以外では若干持て余すというか、転がり抵抗が大きいオーバースペックなのは事実で、トニーのようにテクニックがあって走れる人には理に叶ったバイクだと思いました。実際、コース上で会いましたけど、下りでチギられたのです。


そして2018年、Grinduroの人気は沸点に達し、エントリー開始と共に枠は蒸発、僕はエントリーできず、そのまま諦めて2018年はMTBおじさんとして過ごしていたのですが、再び2019年に出ようという機運が周囲で高まり、エントリーが開始される瞬間に正座待機、無事スロットを確保して先月走ってきました。


関空から飛んでシアトルで乗り換え、国内線でサクラメントまで移動してそこからクインシーまでレンタカーだったのですが、クインシーまでは田舎の1本道です。その途中でGrinduroの異変を感じました。参戦すると思わしきクルマに積まれたバイクがMTBばかりなのです。会場に到着して改めて参加者のバイクをチェックしても、とにかくMTBだらけで、感覚的には半分ほどを占めているように見えました。記憶を掘り起こすと、2016年の場合は10%、2017年でも20%程度だった記憶です。


翌朝にはそれははっきりしますが、本当にMTBだらけで、面白いのはRaphaのジャージにビブというキットで、サンタクルーズのカメレオンやハイボールのようなXC系のMTBにビンディングシューズという組み合わせで乗っている人がかなり多かったです。つまり、僕は2016年にSLATEで走り、MTBの方が楽しいに違いないと2017年はMTBで走ったのですが、文字通り同じ轍を踏んでグラベルバイクからMTBにスイッチした人が相当数いるのでは思います。


思い起こすと2016年、ちょっと荒れた下りのセクションではパンク修理する人がそこここにいました。それが、今年はほぼ皆無でした。MTBが増えたのと、グラベルバイクもタイヤクリアランスが改善されて多くはミニマムで40Cとなり、パンクすることが減ったんですね。


IMG_9675


テッド・キングのバイクと思ったのですが、これはキャノンデールのメディア・リレーション担当の社員さんのバイクです。トップストーン・カーボンというモデルだと思います。650Bx47Cという2017年にブレッドウィナーが持ち込んだバイクに近い仕様です。ファットタイヤがカッコいいですね。


%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88%202019-10-08%2016.23.19.png


さて、今年の優勝者はジャイアントのファクトリーチームに所属する、この選手なのですが、決してワールドレベルではなく、アメリカのナショナルシリーズを回っているレベルの選手です。リザルトが興味深いのですが、発売されたばかりのHTであるジャイアント XtC Advanced 29に、タイヤはマキシスのXCモデルであるアスペンを組み合わせています。



対する2位のダンカン・リッフルはサンタクルーズのスティグマータにタイヤはDONNELLY(元クレメン)の40Cというセットアップ。わずか24秒差で勝敗が決しているのですが、おそらくダンカン・リッフルは元アメリカ代表チーム入りもしていたDH選手だけあり、下りのテクニックは十分あるので平地や登りでの軽さを優先してスティグマータを選んでいるのですが、さすがに優勝した選手はバリバリのXC選手だけあり、下りのテクニックもなかなかのもので、長いシングルトラックの下りであるステージ4で逆に35秒の大差をダンカン・リッフルにつけています。


ここから推測するに、現役XCレーサーの足とテクニックがあれば最速はHTのXCバイク、下りのテクニックがあり、フィジカルも一定以上あれば700x40C辺りのグラベルバイクがGrinduroでは最速だということです。そして、我々凡人レベルのフィジカルとテクニックを持った者は今年増殖していたMTBに乗るのが一番楽しいのです。


水は低きに流れ、人は易きに流れると言いますが、タイヤも太めに流れます。日本でもこの週末、台風が直撃しなければGrinduro Japanが斑尾高原にて開催されますが、おそらく2017年のGrinduroと近い状況で、700x36-38C前後のタイヤを履いたグラベルバイクが多いのではと思います。しかし、ルートはアメリカのGrinduroよりも斜度があり、荒れているでしょう。かなり辛いセットアップです。しかも、最後には斑尾高原のMTBコースを高速で下るレイアウトになっているので低圧ならすぐパンクしますし、高圧にすると恐ろしい衝撃に襲われます。なので、アメリカの例を見ると、Grinduro Japanの2020年開催があるなら、MTBが一気に増えると予想ができるんですね。


この投稿をInstagramで見る

The Xenomorphing

nicholas m haig-arack.さん(@nicholasmha)がシェアした投稿 -


さて、これが話題になっていますが、今度のトレンドを占う一台だと思います。モダンMTBのジオメトリーを取り入れた、スラックなヘッドアングルに長いフロントセンターを持ち、タイヤは29erx2.1"です。650Bx2.1"や650Bx47Cですが、個人的にはマイノリティで終わると思います。と言うのも、MTBではDHバイクでさえ(前輪だけ)29erになりつつあり、29erの優位性は圧倒的で、グラベルバイクで650Bを選ぶ理由は少ないと思うからです。これは歴史が証明しています。


このEVILはどちらかというとファットタイヤを履いた下りも攻める楽しいバイクというコンセプトなのですが、おそらく今後は50mm幅のファットタイヤが入る系統と、43C辺りがMAXの、Dirty Kanzaで優勝を狙うようなグラベルレース用のバイクとで、2系統に分かれると思います。あくまで僕の予想なので真に受けないでください(関西弁で「知らんけど」)。


MTBはほぼ規格が固まっているのですが、グラベルロードの世界はまだまだ動きがありそうで、今一番面白い分野だと思います。さて、今週のGrinduroは開催されるのでしょうか。


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.bikedaily.net/mt/mt-tb.cgi/1399