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BLKMRKT ROAMの26"用右側ドロップアウトを製作します

BLKMRKT ROAMの26"用右側ドロップアウトを現在鋭意製作中です。


そもそも、日本の代理店に過ぎない弊社がわざわざドロップアウトを国内で製作する必要があるのか?から始めないとだめなのですが、少し長く、生々しい話なので、興味の無い方はスクロールしてください。


BLKMRKTというブランドは2005年にBMXとMTBを趣味で楽しんでいたカーター・ホランドという人が既存のMTBフレームに満足することが出来なかったため、S&Mのクリス・モーラーのバックアップで立ち上がったブランドです。つまり、カーターがボスという位置ではありましたが、ほぼS&MのMTB部門の位置づけであり、僕が商売のやりとりをしていたのはS&Mのセールス部門でした。カーターは用事のある時にS&Mに立ち寄るという感じで、フルタイムでは無かったのです。


ご存じ、この時の唯一の製品はMOBと言うハードテイルのMTBフレームで、S&M製というプレミアムもあり、飛ぶように売れました。実際、MOBというフレームはMTBのハードテイルのトレンドを決定的に変えてしまう魅力を持っていましたし、MOB以降のフレームはしばらくこの影響下から逃れることができなかったほどでした。


僕が2005年に数本のMOBを持ち帰り、TKCがアメリカ以外では初のディストリビューターとなり、ステム、ハンドルバーと順調にラインナップを増やし、一部のプロダクションを台湾に移してブランドとしても拡大を続けました。弊社の売り上げも順調に伸び、何も問題が無かったように見えたのですが、2009年にリーマンショックの影響もあったと思うのですが、その辺りでおかしなことになったのです。ロビー・モラレスが辞めてクリス・コールの出資でCULTを立ち上げ、同じ傘下だったMETAL BIKESも出ていきました。そして、S&Mで一室を与えられ、クリス・モーラーの右腕的存在だったはずのニール・ウッドまでが退社。


そして、同じ様にBLKMRKTもS&Mから一人の営業を連れて、独立することになったのです。当初はカーターの自宅を事務所にし、ガレージを倉庫とし、その後に独自の事務所兼倉庫に移ったのですが、この辺りで「シェアホルダーにならないか」というオファーを受けたり、S&Mから連れてきた営業が辞めて、カーター一人の体制になったりするのですが、次第にカーターと連絡が取りにくくなります。


致命的だったのは2012年に秋にオーダーを入れた6万ドルの商品が遅れに遅れ、2013年3月に入荷したのですが、これが5万ドル分の内容しかなく、注文したものと入荷したものが全然違う、という最悪な事態だったのです。この辺りからカーターは僕のメールにほぼ返事よこさななくなり、未だ1万ドルは貸したままの状態です。2014年にはブランド立ち上げ当初からのエースライダーだったアダム・ハックも移籍してしまい、誰の目から見ても状況が良く無いのは明かでした。


この状況を打開すべく、昨年の台北ショーでカーターを捕まえようと赴いたのですが、本人は来ておらず、BLKMRKTの使っていた商社の社長から状況を詳細を聞くにことになったのです。つまり、「君はまだラッキーだ」と言われたのです。


やっとドロップアウトの話までたどりつきました。そんな状況なので、BLKMRKTとしては、今後台湾でプロダクションを動かすのは現実問題無理な状況です。最近はアメリカ製のフレーム、ステム、ハンドルバーなどを小さいロットで動かして、それを近所のライダーや、ショップに売ってる程度のビジネスになっているようですが、僕の感触では、彼はもうビジネスに疲れているんだと思います。彼女が側にいて、犬がいて、自転車に乗れて、楽しく生きるための最低限のお金があればいい、そんな感じではないでしょうか。


BLKMRKT自体は素晴らしいブランドです。今でも多くのファンの方がいますし、現実問題ROAMに乗っていて、ドロップアウトを折って困っている方もいます。なので、ドロップアウトを国内で製作することにしたのです。また、弊社でも折れたドロップアウトのリプレイスのためフレームから外して販売したため、売れないフレームが何本かあるので、それを販売できるというメリットもあります。ただし、今回製作するのは26"用の右側のみです。


roam


価格、納期はまだ未定ですが、どうしても多少高く(おそらく1万円前後)なってしまうのはご了承ください。お届けまで何ヶ月もお待たせすることは無いと思います。


ご予約はこちらからどうぞ。
http://tkcproductions.jp/?pid=87196578


現在でも、アメリカ製のEDIT1やLIL' MONSTERに対するお問い合わせを頂きますが、カーターが僕のメールに一切返信を寄越さない以上、弊社としても受注することができません。もし本当に欲しい場合は本国のオンラインストアで注文を入れる方がいいかと思います。送金からフレームが届くまでかなり時間は掛かるようですが、日本から実際に購入された方もいます。


結果的にこのようなことになって残念ですが、ブランドというのは常に浮き沈みのあるものです。例えば、カーターが新たに出資者を迎えたり、ブランドを売却して新しいオーナーがチームと製品ラインナップを強化し、再浮上することだって可能性として十分あります。僕は今でも期待していますし、この10年間に感謝しています。少なくとも、TKCが今まで存続できたのはBLKMRKTのお陰です。


本来はこのような裏事情は明かすべきでは無いのかもしれませんが、お客様に対して口を濁し続けるのは不義理であると考え、ここに公開しました。"Rider owned company"というのは難しいものなのですよ。この10年間で得た教訓です。


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