フレームが塗り上がったとの連絡があったので、電車でナガサワレーシングサイクルに行ってきました。今回の手土産はグラマシーのロールケーキ。まっ、嫌いな人はいないでしょう!
シャッターを開けてショップに入ると長澤氏ご本人が。天井に吊ってあったフレームをおろし、スタンドに掛けて塗装の説明を受けましたが、耳に入りません。テンションMAX。
ちなみにこれが塗装に出したフレーム。2003年製のスローピング。ペコも突っ込みも無く、綺麗に見えたのですがフレームの外見ほどあてにならないものは無いそうです。このフレームが・・。
こうなりました。いやもう、新車ですよ。新車。パールホワイトにゴールドのデカール。長澤氏イチオシのカラーウェイです。一見地味だけど、実はツウな感じだそうです。トップチューブにまでデカールが。
シートチューブへのNAGASAWAロゴは小さなフレームの場合はバランスが悪くなるので省略されることもあるとか。デカールの配置などは長澤氏の気まぐれで決めるみたいですね。細かい墨入れは上村塗装さんにお任せだそうです。「フレームビルダーと塗装屋は一心同体」とおっしゃってましたので、上村さんへの信頼は厚いです。
で、納品書でフレームの作業状況を見ると、惨憺たる状況・・。
ヘッド上下シワ
シートチューブBB部シワ
BB部シワ
上ペコ大
BB裏サビ
ヘッドサビ大
全然グッドコンディションではありません。おそらく、軽い突っ込みがあったのでは?というのが長澤氏の判断。全然目では見えなかったトップチューブのペコも、単純に凹みを埋めたら良いという訳では無く、チュービング全体が影響を受けているので、それを真っ直ぐに戻すところから始めるそうです。ただ、修理に持ち込まれるフレームの中では比較的良かったとのことでした。なので、中古で流通している競輪フレームの程度なんて、推して知るべし・・。
ヘッドパーツはもっと程度の良いハッタに交換して頂いており、チェーン引きも2ペア付いてきました。チェーン引きは絶対に使いなさいと言われています。フレームのバックは123mm。ハブは120mm。3mmの分はチェーン引きの分。チェーン引きを入れなかったら、リアのセンターも出ないし、エンドの消耗が早くなるそうです。チェーン引きを使うと、そんなにバカみたいにナット締めなくても固定できるので、結果的にエンドが曲がったりすることが無くなるそうです。はい、今後はチェーン引きを使います。
先週末に向日町のバンクを走って1000mが1分27秒、200mmダッシュが12秒台だったことを長澤氏に披露すると、意外にもメチャメチャ褒められました。素人にしては速いと。しかも、「今度自転車持ってこい。ポジションみてやる」とまで言われました。やばいよー。中野浩一氏とV10達成した人から教えを乞えるなんてー。
折角なのでフレーム製作を見学。すると、溶接部分を差して、「黒くなってないやろ。やっと最近溶接がわかってきた」と爆弾発言。「えっ?この数年ですか?」って聞いたら、「この数ヶ月だ」と。僕は北斎を思い出しました。
六才より物の形状を写の癖ありて 半百の此より数々画図を顕すといえども 七十年前画く所は実に取るに足るものなし
七十三才にして稍(やや)禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり
故に八十六才にしては益々進み 九十才にして猶(なお)其(その)奥意を極め 一百歳にして正に神妙ならんか 百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん
願わくは長寿の君子 予 言の妄ならざるを見たまふべし
「私は6歳より物の形状を写し取る癖があり、50歳の頃から数々の図画を表した。とは言え、70歳までに描いたものは本当に取るに足らぬものばかりである。(そのような私であるが、)73歳になってさまざまな生き物や草木の生まれと造りをいくらかは知ることができた。ゆえに、86歳になればますます腕は上達し、90歳ともなると奥義を極め、100歳に至っては正に神妙の域に達するであろうか。(そして、)100歳を超えて描く一点は一つの命を得たかのように生きたものとなろう。長寿の神には、このような私の言葉が世迷い言などではないことをご覧いただきたく願いたいものだ。」
とにかく、今までとは全く違う順番で火をいれているとか。ほんと、葛飾北斎を思わせる執念と探求心。恐れ入ります。
あと、なんとなく入札したら落札してしまった。ナガサワも届きました。塗り替えたナガサワのパーツで簡単に組んでみました。練習車だったそうで、かなり綺麗です。
箱から出して、色があれだったので、もしかして・・・と思ったらHATTA Swan Super Titaniumですよ。このフレーム、誰のフレームか競輪好きの人は一発でわかるでしょう。競輪界のスーパースターで、五輪メダリストのフレームです。
えらいもん入手してもうた〜。